つれづれなる日記

海外ゲーム紹介&プレイ中のゲームブログ。ついった:https://twitter.com/hiirosou 動画投稿もしていたりしていなかったり…

Disco Elysium(ディスコ エリジウム):待望の日本語化が来ていたのでクリア後レビュー

とんでもない高評価のミステリーRPG、Disco Elysium(ディスコ エリジウム)。購入したのは一年ほど前。日本語が来るらしい(不確定)と聞いて、EPICでセールしていたのを買ってずっと放置していました。

 

待望のと言いつつ、実際には8月末に日本語が来ていたのですが、うっかり忘れていて遅れてクリア。

 

なんというか、一言で言えば「すごいゲーム」でした。万人にはおすすめできないけど神ゲー。でも万人むけじゃない神ゲーってなんだよっていう感じ。

 

Disco Elysiumはゲームだけど、分厚いハードカバーのミステリー小説の中に入って物語を体験するような体験型小説と言った感じ。ゲームの登場人物になりきってひたすら物語を進めるという本当の意味でのロールプレイングゲームでした。

 

一番すごいのは、ほぼ完璧に日本語化したと言うこと。今までプレイした数ある海外ゲームの中でも1、2を争う難解な文章のゲームで、英語出来ないとまずプレイが無理なゲーム。翻訳は不可能では?とか言われていたのに、よくこれをここまで…というのが素直な感想で脱帽するほかありません。

それで、タイトルの「ディスコ」には実際の音楽をかけて踊るディスコという意味の他に、ラテン語で「私は学ぶ」という意味があるそうです。

エリジウムは理想郷とか極楽浄土とかそういう場所。おそらくディスコと同じように複数の意味を指していて、その一つが主人公の存在する世界のことを揶揄しているのかな?と思います。

 

主人公はかなり重度の記憶喪失から始まります。これは、ゲームを始めたばかりでこの世界のことを一切知らないプレイヤーと一致するので、そこから探偵ごっこをしながら色々な事を学んでほしい、という製作者の願いを表しているんじゃないかなと思います。

 

そしてインディーズ製作ということもあり、大企業はビビって絶対に手を出さないような色んな団体が騒ぎそうなテーマである、社会や思想におけるイデオロギー対立や批判、政治、人種差別、薬物、性、暴力などこれでもかという位詰め込まれており、インディーズだからこそ出せたゲーム。

しかし、人種差別や政治的イデオロギーなど、おそらく作者の社会情勢が関係しているようなものに関しては日本人でははいまいちピンと来ないと思います。

 

 

なぜこれほどまでに高評価かというと、ゲームというよりインディーズならではの表現で、文学的・芸術的作品として大傑作と評価されているせいだと思います。どう逆立ちしてもAAAゲームを作る大企業では社会的に100%作れないゲーム。

操作性も悪いしゲームと言うにはかなり怪しいゲームだけど、一種の体験型小説として考えると超大作と言っても差し支えがない出来です。あとは油絵風イラストも芸術的で評価も高いです。

 

 

ぶっちゃけ、探偵ゲーと思わせておいて、その実は上記で書いたテーマや、人間の生き方や思想などにかなり突っ込んでいるため非常にインテリ向けゲームと言った趣。

商売でレビューしているインテリ集団にとっては「このゲーム、神ゲーって言っておかないと無能だと思われる」と、見栄貼るため口を揃えて神ゲーって言っているんじゃないかと思います。評価しているユーザーもそんな風な感じ。

個人的にはSkyrimよりスコア高い点でありえないという感じ。

 

実際プレイしてみると操作性は悪いし、どんな簡単なことでも六面ダイス2つで判定して1・1が大失敗、6・6が大成功のため、とんでもない所で大失敗が出たり。

※相棒の生死を分ける場面で、結果によって色々プラス補正を入れて本来100%で成功するはずが…

 

セーブ・ロードで結果変わるのでやり直しても良いわけですが、60%と70%の2回判定を突破するのに10回近くロードしたり、乱数生成を裏で操作しているんじゃないかと思うような超理不尽なところがかなりありました。

あと主人公の思想からボーナスを得る思考キャビネットも実際にスキルポイントを支払って数時間かけて定着させるまで効果がわからないとか不親切極まりないため、正直自分的には評価は89位です。

 

 

ディヴィニティのレビューの時も書いたような気がしますが、高評価すぎるものはアテにならない事が多いので、今ならプレイ動画などを見て判断したほうが良いと思います。

 

 

ということでレビュー続き。

 

このゲームで特にすごいのは、主人公の中には24の分断された人格がスキルとして存在しており、常に主人公に色々と語りかけてくるということ。自分のプレイは知性5ほかそこそこの知識タイプだったので、知性カテゴリにある論理や百科事典がとにかく出てきました。

 

ポイントは、このアーキタイプは現実のプレイヤーでは追いつかない主人公の能力を補完する感じでアドバイザーとして存在しているということ。

よくロールプレイングゲームで、IQ200の超天才を演じても、実際のIQはプレイヤーを越えることは出来ないという当たり前の問題が起こるわけですが…

キャラの知性を上げておくとちゃんと知性のカテゴリの人格が一瞬で計算の答えを出してくれたり、上記の画像のように相手の嘘を見抜いて教えてくれます。

他にも「この選択肢を選ぶといいよ」「相手の会話には矛盾がある」、場合によっては「相手が騙そうとしているぞ」とかプレイヤーが気づかなくても教えてくれるので、知性を高くすれば頭の賢い行動を取りやすくなります。

 

現実世界でも、行動を起こす際はだいたい一瞬の間に脳内会議で色々考えてから行動を起こすわけですが、それを文章で人格化してユーモアあふれる優れた描写で表現されているのが、ディスコエリジウムの他のゲームには無い優れた点の一つだと思います。

 

 

特に知性の「百科事典」は、ゲーム開始時に用意されている知識キャラの初期装備だけあってすごく便利です。専門用語が出るとちゃんと解説してくれるので、世界観を理解するのにも便利で何も知らないのに何でも知っているキャラを演じる事ができます。逆に無いと、多分専門用語が何もわからないです。

 

知性高いキャラしかプレイしていないですが、肉体の高いキャラだと、とにかく肉体を司る人格が体を動かすことを提案してきて、「そこでぶん殴れ」とか「いけるいけるやってみろ」とか脳筋馬鹿っぽいアドバイス?が多発するみたいです。

 

しかも、人格同士が言い争ったり相談し合ったりといろいろややこしくなるケースも存在します。読んでて面白いですが。

 

 

一応のゲームの主目的である「首吊り殺人の犯人を探す」に関しては調査が進む事に二転三転、真実がわかっていく過程は面白いんですが…いざクライマックスで犯人と動機分かると「なんじゃそりゃ!?」ってなってしまうので、ミステリーとしてはうーん、みたいな。

とにかく独特な世界観をテキストから味わうゲームでした。

 

 

そんな感じでDisco Elysiumはとにかく文章を読むゲームです。しかしいきなり形而上学的な話が始まったり謎の現象が始まったり、無機物と会話しだしたりとエキセントリックなものも多く、こういうものだと理解していなければ何だこのゲーム…となること受けあい。

 

プレイしておけば「Disco Elysium?…ああ、そういえば面白かったね」位の見得を切ったり、「面白かったよね?」とマウント取ることは出来るので、興味があればプレイしてみるのも良いと思います。